育児から育自       

  

   ベビーシッターとして、他人のお宅へ伺っている人と話をする機会がありました。

私が「かくれんぼの効用」(*)について話をしたところ、「今は『かくれんぼ』はしない」って言うんです。一人で隠れていると誘拐されたら困るというわけです。ベビーシッターと一緒の時はいいけれど、友達同士で遊んでいる時、連れ去られたら大変ということなのね。見付かってしまった時の「わぁーっ」という、あの心臓の高鳴りと興奮も、今の子どもたちは制限され、禁止されているんですね。なんだかかわいそうだと思いました。

遊びにも時代が反映するんだなと、改めて社会と子どもの世界の関連を考えさせられました。

子どもたちの冒険心も、好奇心も危険のない範囲でしか育てられないということでしょうか。

日が落ちて暗くなるまで外で遊び、叱られるかなと、心配しながらかけて帰った幼い頃、我が家の灯にどれほどホッと心なごんだことか。少し無理をして少し頑張って、少しずつ成長していった日々。子どもたちがのびのびと暮らしていけるように、時間も忘れるほど遊びに熱中できるような、そんな環境が欲しいですね。

(*)「かくれんぼの効用」かくれんぼは、必ず探し出してくれることを信じているから、心細くても隠れていられる。保育園から「ただいま」「お帰り」と帰った時の、「お母さんがいた!」緊張がとけてほっと一息入れたら、また元気に外へ飛び出していくのです。一瞬の出会い、瞬間の交流が、子どもに大きな安心を与えてくれるのです。