地球環境グループはあなたの運動を支援します。
 

環境問題とひとくちに言っても様々です。それぞれの分野で専門家の方々が知恵を絞って取り組んでいる。突き詰めれば突き詰めるはど範囲が広がり、また課題も増えていくのが環境問題というものです。

私も微力ながら仕事を通じて環境問題に取り組んでいる人間のひとりです。現在、担当しているのは水産業に関する分野。漁船の廃船処理や、商品としては流通 しない海藻類の活用、加工の際に余る魚のアラなどから有効な成分を抽出する作業などの法律的、技術的なサポートを行っています。この仕事に携わっていて感じるのは、自治体や企業が本気で環境問題に取り組んでいるという事実。無駄 をなくし、限られた資源を少しでも有効に使おうという姿勢には教えられるところがたくさんあります。

自分自身が環境問題に興味を持ったのは大学生のときでした。私は土木工学を専攻していたので、将来は建設会社に勤めるのだろうと考えていました。ただその一方で、環境問題に対する危機意識も抱いていた。テレビや新聞では連日のように環境汚染やごみ問題のニュースを報道している。建設業もいいけれど、環境に対して自分もなにかしなければいけないという焦りを感じていました。

そんなとき、大学の研究の手伝いで郊外の下水処理場を訪ねる機会がありました。これが私に「自分は何をすべきか」という卒業後の進路を引き出してくれました。

分析のための水の採取に訪問した下水処理場には、自分たちが出す生活排水が送られて来ていました。処理場ではその汚れた水を機械装置とバイオの力によってきれいに浄化していた。「三尺流れて水滴し」とは昔の言葉。現代の都市のように大量 の下水が発生する場では、さすがに自然の浄化力のみに頼るわけにはいかない。だからこそ、人工の力も加えた下水処理場が必要になる。頭ではなんとなくわかっていたことが、実感をともなって理解できた瞬間でした。そして、水をきれいにする処理場とて、別 の面で見ればエネルギーを大量消費するために二酸化炭素を多く発生させてしまい、地球温暖化の原因をつくっているというマイナス面 にも気付きました。これはなかなか理想論的にはいきそうにない。いや、だからこそ本気で取り組むべき価値がるのだ、そう感じたことが、今の仕事に就くキッカケとなったのだと思います。

もちろん、私のように職業としなければ環境問題に貢献できないというわけではありません。なぜならば、環境問題は世の中の人全員の問題だからです。よく言われているように、「物を大切にする」「ごみを出さない」「リサイクル品、リユース品を積極的に購入する」といったことは誰にでもできることです。物を買うときも、その製品が環境に対して優しいかどうかを確かめた上でレジに運ぶことが大切です。「お風呂の水は洗濯に」も常識。私の場合は熱帯魚を飼育しているので、取り替えて古くなった水は観葉植物や植木に差しています。飼育用の水は塩素を除いているうえに養分を含んでいるので植物の生育にも役立つ。まさに一石二鳥です。休日も、知り合いなどに誘われれば海浜清掃の手伝いに行ったりします。打ち上げられた空き缶 やプラスチック類などを見ると暗い気持ちになったりもしますが、一方では拾った海藻を集めて海藻押し葉を作ったりと楽しいイベントもありました。一緒に参加した小学生たちも喜んでいました。環境問題というと堅苦しいけ れど、そこに 「楽しみ」がひとつでもあれば子どもでも一生懸命にやってくれる。環境問題を解決していく糸口は案外こんなところにあるのかもしれません。

「地球にやさしく」と口で言うのは簡単です。一度崩れた環境のバランスを取り戻すのはなかなか難しい。画期的な発明による大逆転などは夢のまた夢です。だからこそ、ひとりひとりが生活を見直してたとえわずかでも環境への負担を減らす努力をしなければいけない。私自身もまだまだ努力が必要だと痛切に感じています。