風に吹かれて舞い落ちた木の葉がカラカラと払いた音を立てています。落ち葉を踏みしめて歩く季節となりました。

皆様にはお元気にお過ごしでしょうか?

さて、今回の三号では子どもの全てを受け止め慈しむ心、すなわち『母性』について私自身を振り返りながら話を進めていきたいと思います。

母性は生まれながらに持っているものと言われますが、本当にそうでしょうか。昨今、世の中で起きている、家族や家庭内のさまざまな問題にどうして良いのかわからず、苦しんでいる人が多くいるように感じられてなりません。

私も学級(現・くらしのこころ学セミナー)を開催した頃、幼い子どもに対して厳しさだけの親である自分に苦しんでいました。そんな折、母性に目覚めることができた大きな出会いがありました。 それは、セミナーに参加してくださっている方が持ってこられた『学級だより(中学校)』に掲載された一編の詩でした。私の主宰するセミナーでは折に触れ、皆さんと読み続けたものです。

この詩を読む度に涙が流れ、心から子どもへの詫びる心も深くなっていったのです。

何年前だったでしょうか。九州大学、心理学の北山修先生の講演の中に、人が本当の自分でいられるところは母の腕の中しかないと話された言葉が印象的でした。

子どもが可愛いと思えない、受け止められない親が増えている社会の中で、私たちはお互いに、人としての心を育みあえる関わり合いを進めていきたいと思います。

平成9年11月号(第3号)