新緑の美しい季節となりました。

小さな体に大きなランドセルを背負った新1年生の姿に思わず微笑んでしまいます。皆様にはお変わりなくお過ごしのことと思います。

今回は、1日の始まりの大切な朝を毎日どのようにスタートさせているかをちょっと振り返ってみましょうということで、私自身子どもが小学校低学年だった頃、「くらしのこころ学セミナー」参加者とこのテーマで話し合いましたことを書き進めてまいります。

参加者の一人のお母さんが言いました。

「私は毎朝、布団の中からパジャマのまま子どもと一緒に夫を送り出しているの。子どもが小さいし、夫も朝は食事をしていかないから作らなくていいし…」

すると、

「あら私もそうよ」

と何人かが相槌を打つのです。彼女たちの言い分の中に、夜中にミルクを飲ませたりして朝ぐらいゆっくり寝たい、と子どものペースで生活しているうちに、いつの間にか夫の朝食抜きの生活ができあがっていったようです。また、思うようにならないと、朝から夫や子どもに対し感情のままをぶつけ怒りつけてしまう毎朝と話すお母さんもいました。

1年程たった頃でしょうか、セミナーに毎月参加してくださっていたその中のお母さんの子どもさんたちが幼稚園へ通うようになり問題がでてきたのです。

「行きたくない」

と言って泣いたり、何事にも行動が遅いためにいじめられたり、全く話すことができなくなったり、また、いつも一人ぼっちで友だちができずにいると先生から注意をされたり、それぞれ子どもが集団の中で生活するようになって問題が起きてきたのです。そこで初めて、親は毎日どういう気持ちで生活し、関わってきたのかを振り返ることになるのですね。

小さなことのようですが、朝の家庭の風景は、毎日が人生の大きなスタートだとも思えるのです。今、社会で起きている子どもの凶悪犯罪も、こうした何気ない親たちの気ままさや、心ない言葉や行動で育つ積み重ねが、一つの要因にもなっていると思えてなりません。

今、お互いが生活習慣を見直していくことが大切ですし、ほんの少し自分を見つめ直していく努力をしていただけるよう、多くの人に参加を呼びかけ共に学びあっていきたいと願うばかりです。

もう一人のお母さんからは、

「私は毎朝主人の寝てる所へ、お茶と梅干しとおしぼりを持っていってます。欠かした事がありません」

というすごい方がいらっしやいました。この方のことは、次回のお話にしたいと思います。


平成10年4月号(第5号)